ゴミ屋敷問題の解決に不可欠な役割を担う地域包括支援センターですが、その活動は決して容易ではなく、様々な「課題」に直面しています。これらの課題を理解することは、地域包括支援センターの支援をより効果的なものにするために、社会全体で取り組むべき方向性を示すことにも繋がります。まず、最大の課題の一つは「住人の自己決定権と支援のバランス」です。地域包括支援センターは、住人の意思を尊重し、自発的な改善を促すことが基本です。しかし、セルフネグレクトや認知症、精神疾患などにより、住人自身が適切な判断能力を欠いている場合でも、憲法上の権利である自己決定権を侵害することはできません。どこまで介入すべきか、どこまで支援を押し進めるべきかという線引きは非常に難しく、職員は常にこのジレンマに直面しています。次に、「専門職の人材不足と業務負担の増加」も深刻な課題です。高齢化の進展に伴い、ゴミ屋敷問題を含む高齢者への相談件数は年々増加しており、地域包括支援センターの職員の業務負担は増大しています。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門職の絶対数が不足している中で、一人ひとりが抱えるケースは複雑化しており、きめ細やかな支援を行うには限界があります。また、「関係機関との連携の難しさ」も課題として挙げられます。ゴミ屋敷問題は、医療、介護、福祉、環境、警察など、多岐にわたる機関が関わります。しかし、それぞれの機関の専門分野や管轄が異なるため、情報共有がスムーズに進まなかったり、責任の所在が曖昧になったりすることがあります。これらの機関間の調整役である地域包括支援センターは、多くの時間と労力を調整業務に費やすことになります。さらに、「費用の問題」も大きな課題です。ゴミ屋敷の片付けや特殊清掃には多額の費用がかかることが多く、経済的に困窮している住人にとっては、その費用を捻出することが困難です。行政による費用助成制度もありますが、その対象範囲や利用条件が限られている場合もあり、費用面での解決が難しいケースも存在します。行政の予算には限りがあるため、どこまで費用を負担できるかという現実的な問題に直面します。一部の住民が関心を持たなかったり、あるいは当事者への偏見や差別意識を持っていたりする場合、見守りや情報提供、地域コミュニティへの参加促進といった、地域全体での協力が得られにくくなります。